無許可営業の罰則は
「拘禁刑」に変わった
漁船・ブランド品・チケット――実際にあった摘発事例と
2025年6月の罰則改正を解説
山田 翔太
フリマナビ編集部|メルカリ・ヤフオクでの出品・仕入れ経験にもとづく解説 / 最終更新: 2026-09-08
📌 結論
2025年6月の法改正で無許可営業の罰則は「拘禁刑」に変わった。実際に漁船・チケット・ブランド品などの無許可転売で書類送検・逮捕された事例が複数存在し、売上規模と無許可期間が長いほどリスクは高まる。
2025年6月施行|「懲役」から「拘禁刑」への罰則改正の中身
2025年6月1日、刑法等の一部改正が施行され、これまで別の刑罰として扱われてきた「懲役」と「禁錮」が「拘禁刑」に一本化された。 古物営業法の罰則規定もこの改正に合わせて条文上の表現が変更されており、古物商をめぐる罰則を語る際は「懲役」ではなく「拘禁刑」という名称を使うのが正確になる。
古物営業法第31条:無許可営業の罰則
3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(併科もあり)
許可を受けずに「業として」古物の売買・交換を行った場合に適用される、無許可営業に対する最も重い罰則。
古物営業法第33条:本人確認・帳簿義務違反の罰則
6ヶ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金
許可を得ていても、相手方の本人確認や帳簿への記録を怠った場合に適用される罰則。無許可営業とは別の条文で規定されている点に注意。
古物営業法第4条:一定の刑を受けた場合の再取得制限
無許可営業などで古物営業法第4条により、拘禁刑以上の刑を受けた場合、または古物営業法第31条の罪(無許可営業など)や窃盗・背任・遺失物横領などの罪で罰金刑を受けた場合は、刑の執行を終えた日(または執行を受けることがなくなった日)から5年間、許可を受けられません。 「摘発されてから許可を取り直せばいい」という発想は、この5年間のブランクによって実際には成立しにくい。
📌 補足:本記事の罰則・条文の内容は一般的な解説であり、個別事案での量刑や適用条文は事案の内容によって異なる。実際の対応が必要な場合は弁護士や行政書士など専門家に相談してほしい。
実際にあった摘発事例
古物営業法違反は「遠い世界の話」ではない。報道された事例を要約すると、扱う商品もきっかけも幅広いことがわかる。
中古漁船の無許可転売(北海道・2020年2月書類送検)
古物商許可を得ないまま中古の漁船4隻を仕入れ、日本国内やロシアの業者へ転売していた男性が書類送検された事例。 約20年間にわたり100隻以上を扱い、年間で数百万円規模の利益を得ていたとされる。長期間・大規模に及んだことが摘発の背景にあると報じられている。
無断ロゴ入りスマホケースの転売(静岡・2017年逮捕)
大手コーヒーチェーンの許可を得ないロゴが入ったスマホケースを中国から仕入れ、フリマアプリで転売していた人物が逮捕された事例。 こちらは古物営業法違反ではなく商標法違反での立件だが、フリマアプリを使った「せどり」的な転売行為の延長線上で法的リスクが顕在化した実例として参考になる。
勤務先ブランドの自社古着を無許可転売(書類送検)
アパレル企業に勤める会社員が、勤務先ブランドの自社製古着を無許可で仕入れ転売していたとして書類送検された事例も報じられている。 「会社員の副業だから」「扱う商品に詳しいから」は無許可営業の免責事由にはならない。この事例の詳しい経緯はフリマ古物商許可の判定基準ガイドでも取り上げている。
その他の書類送検事例
このほかにも、コンサート等のチケットの無許可転売、自転車タイヤの無許可流通、ブランド古着の無許可転売などが、それぞれ書類送検された事例として報告されている。 商品ジャンルを問わず「仕入れて反復継続的に転売する」行為である以上、古物営業法の対象になり得る。
なぜ摘発されるのか|売上規模と無許可期間がリスクを左右する
古物商許可申請の代行を行う複数の行政書士事務所のコラムでは、共通して「売上規模が大きいほど」「無許可で営業している期間が長いほど」摘発リスクが上がるという見解が示されている。 上記の漁船の事例も、約20年・100隻以上という規模の大きさと期間の長さが背景にあると考えられる。
「バレてから許可を取ればいい」が通用しない理由
無許可営業で古物営業法第4条により、拘禁刑以上の刑を受けた場合、または古物営業法第31条の罪(無許可営業など)や窃盗・背任・遺失物横領などの罪で罰金刑を受けた場合は、刑の執行を終えた日(または執行を受けることがなくなった日)から5年間、許可を受けられません。 つまり摘発された時点で「今から許可を取って続ければいい」という選択肢自体が5年間なくなる。早期に許可の要否を判断しておく理由はここにある。
逆に言えば、無許可営業のリスクは「今すぐ全員が摘発される」という性質のものではなく、規模と期間に応じて徐々に高まっていく性質のリスクだと理解しておくのが実態に近い。
自分は対象になるのか?
ここまで見てきた罰則や摘発事例が「自分にも関係あるのか」を判断するには、そもそも自分の転売行為が古物営業法上の許可を必要とする行為に当たるかどうかの判定が必要になる。 この判定基準(不用品処分と仕入れ転売の線引き、「業として」の定義など)は本記事では扱わず、別記事で詳しく解説している。
許可が必要なラインの判定基準は「フリマで売り続けると違法?古物商許可が必要なライン」で網羅的に解説している。まだ確認していない場合は先にこちらを読んでおくことをおすすめする。
摘発を避けるための現実的な選択肢
許可が必要と判断される場合、取るべき選択肢は基本的に2つしかない。許可を取得して事業を続けるか、無許可営業に当たる行為をやめるかのどちらかだ。 申請手続きの具体的な流れ(必要書類・申請先・審査期間など)は古物商許可の判定基準ガイドにまとめてあるため、ここでは重複させず要点のみ整理する。
早めに動くことの価値
- 1.売上規模が小さいうちに許可を取得すれば、審査上のハードルも比較的低い段階で対応できる
- 2.無許可期間を長引かせないことが、摘発リスクを抑える最も基本的な対策になる
- 3.許可取得後は売上・経費の管理体制も同時に整え、確定申告まで見据えた事業運営に切り替える
許可取得と並行して、日々の売上・仕入れの記録を整理しておくことも重要だ。確定申告のための売上管理方法では、フリマ副業の記録・集計方法を詳しく解説している。
よくある質問
2025年6月の法改正で「懲役」はなくなったのですか?▼
無許可営業で罰金刑を受けると、その後ずっと古物商になれないのですか?▼
自分の転売行為が「無許可営業」に当たるかどうかはどう判断すればいいですか?▼
摘発されるのは売上が大きい人だけですか?▼
商標法違反と古物営業法違反は同じ罪ですか?▼
📚 参考情報・出典
- [1] 古物商許可の教科書(要約・パラフレーズ)
- [2] 埼玉県古物商申請代行センター 解説コラム(要約・パラフレーズ)
- [3] 複数の行政書士事務所コラム(2025〜2026年更新分、要約・パラフレーズ)
- [4] 古物営業法(e-Gov法令検索)
※罰則・条文の内容や適用は個別事案により異なります。最新情報は法令原文または専門家にご確認ください。
📝 まとめ
✅ 2025年6月施行の改正で、無許可営業の罰則は「懲役」から「拘禁刑」に変わった
✅ 漁船・ブランド品・チケットなど、業種を問わず無許可転売の摘発事例が複数存在する
✅ 売上規模が大きいほど、無許可期間が長いほど摘発リスクは高まる
✅ 一定の刑を受けると5年間は許可を受けられないため「バレてから」は通用しない
✅ 自分が許可対象かどうかの判定は、判定基準を解説した別記事で確認する