トランプ関税でeBay
売上28.9%減
日本人セラーが今すぐやるべき7つの対策
「eBayの売上が、先月から急に落ちました」——2025年9月以降、日本人eBayセラー間で頻繁に交わされている会話です。複数のeBayマーケティング会社が公開しているデータによると、2025年8月のデミニミス制度廃止以降、日本人セラーの平均売上は28.9%減少しています。
📌 この記事の結論(2026年5月時点)
米国一辺倒の販売戦略はもう通用しません。DDP対応への切り替え、販路の多極化、価格戦略の見直し——この3つを実行すれば、関税ショック前と同水準まで利益を回復できます。本記事では、現役セラーが実際に効果を確認した7つの対策を解説します。
📅トランプ関税の時系列まとめ
何が起きたか、時系列で整理します。多くのセラーが「全体像」を把握できていません。
| 時期 | 出来事 | 日本人セラーへの影響 |
|---|---|---|
| 2025年4月2日 | IEEPA関税発動(全世界10%) | 米国向け価格に10%上乗せ |
| 2025年4月9日 | 日本に相互関税24%発表→90日停止 | 4月10日から一時的に緩和 |
| 2025年5月14日 | 対中国関税145%→30%に引き下げ | 中国セラーが市場復帰 |
| 2025年8月29日 | 米国デミニミス制度廃止 | 全価格帯で関税対象に |
| 2025年8月27日 | 日本郵便が米国宛て一部停止 | EMS・eパケット等が使えなくなる |
| 2026年2月24日 | 最高裁がIEEPA関税を違憲判決 | 関税還付の可能性が一時浮上 |
| 2026年2月24日 | Section 122関税10%発動 | 7月24日まで150日間有効 |
| 2026年7月24日 | Section 122関税期限 | 次の措置は未定(延長リスク有) |
このタイムラインから分かるのは、「関税ショックは段階的に起きている」という事実です。2025年4月の1次ショック、8月のデミニミス廃止で2次ショック、2026年2月のSection 122で3次ショック——それぞれの段階で対応を求められた日本人セラーは、平均で売上の3割を失いました。
📉売上28.9%減はなぜ起きたのか
私自身、2024年は月商60万円を超えていましたが、2025年9月の売上は42万円まで落ちました。約30%の減少です。
理由①:関税未払いトラブルの急増
デミニミス廃止前、$800以下の商品にはほぼ関税がかかりませんでした。今は$10の商品でも関税対象。バイヤーが「思っていた金額と違う」と受け取りを拒否するケースが急増しています。
理由②:中国セラーの早期復帰
中国セラーが市場から後退すると予想されたものの、5月14日の関税引き下げで早期復帰。日本人セラーが「独り勝ち」になるシナリオは実現しませんでした。
理由③:バイヤー心理の悪化
米国バイヤーの間で「日本から買うと関税が高い」という認識が広がりました。実際は中国・EU・カナダからも関税対象ですが、認識のズレが購入ハードルを上げています。
理由④:米国の物価上昇
米国の物価は2020年比で20%以上上昇。日本人セラーの商品も「割高に感じる」状況に変化しました。購買力低下が全体的な需要を押し下げています。
✅対策①:DDPへの切り替え
最も即効性のある対策が、DDU(Delivered Duty Unpaid)からDDP(Delivered Duty Paid)への切り替えです。
DDPとは何か
DDPはセラーが関税を事前に支払って商品価格に含める方式。バイヤーは「最終支払額」を購入時に把握できるので、関税トラブルが激減します。
| 項目 | DDU | DDP(推奨) |
|---|---|---|
| 商品価格($100商品) | $100 | $113(関税込み) |
| バイヤー側の追加請求 | 後から$13請求 | なし |
| 受け取り拒否リスク | 高 | 極低 |
| ケースオープン率 | 約8% | 約1% |
DDP切り替え手順
- 1CPaSS または eLogi で「DDP」オプションを選択
- 2商品価格を関税込みで再設定(米国向けは約13%増)
- 3商品説明に「All duties included / DDP」を明記
- 4Shipping Policyでシッピングポリシーを一元管理
DDP料金の正確な計算は関税国別計算機を使ってください。商品価値・カテゴリー・送り先国を入れるだけで Section 122込みの関税合計が出ます。
🌏対策②:販路多極化(米国以外への分散)
米国一辺倒の戦略は終わりです。私は2025年10月以降、米国の売上比率を80%→55%まで意図的に下げました。
🇦🇺 オーストラリア(最優先)
- デミニミス: AU$1,000(約9.5万円)まで免税
- 高単価商品(カメラ・時計)でも関税ゼロの可能性大
- アニメグッズ・ヴィンテージ品の需要が高い
🇭🇰 香港(次点)
- 自由港のため一般商品は関税ゼロ
- 高単価商品(時計・カメラ等)の輸出先として最適
- アジア再輸出ハブとしても活用される
🇬🇧 イギリス・🇩🇪 ドイツ・🇫🇷 フランス
| 市場 | デミニミス | 状況 |
|---|---|---|
| 🇬🇧 UK | £135 | 現在も有効・英語圏で容易 |
| 🇩🇪 DE / 🇫🇷 FR | €150 | 2026年7月廃止予定 |
各国への送料は国際送料一括比較表で確認できます。eBayのShipping Policyで「Worldwide」を選択して国別送料を個別設定する際に活用してください。
💰対策③:価格戦略の見直し
関税環境の変化に対応するため、価格戦略を3段階で見直します。
Step 1: 既存商品を10〜15%値上げ
DDPの場合、商品価格に関税分を含めるため。米国向けは特に+10%程度の値上げを検討。実際、多くのセラーが値上げ後も販売数は5〜10%減にとどまり、利益率は改善しています。
Step 2: 関税の低いカテゴリーへシフト
| カテゴリー | 米国関税率 | 評価 |
|---|---|---|
| カメラ・レンズ | 2.8% | ◎ 低関税 |
| ゲーム機・ソフト | 0% | ◎ 関税ゼロ |
| アニメグッズ・フィギュア | 0% | ◎ 関税ゼロ |
| 本・雑誌 | 0% | ◎ 関税ゼロ |
| ヴィンテージ衣類 | 12〜18% | × 高関税・避けるべき |
Step 3: 「価格表示」戦略
商品タイトルに「Free Shipping / All Duties Included」を明記。バイヤーは「追加料金なし」を強く好みます。CTR(クリック率)とコンバージョン率の両方に効きます。
📝対策④:商品ページの英文表記
DDU運用を続ける場合、商品説明に必ず以下の英文を入れてください。この英文があるかないかで、関税トラブル時のセラー保護適用率が大きく変わります。
⚠️ IMPORTANT FOR ALL INTERNATIONAL BUYERS This item is shipped from Japan. Import duties, taxes, and customs fees are NOT included in the item price or shipping charges. These charges are the buyer's responsibility. For US buyers: Please note that as of August 2025, ALL imports from Japan are subject to customs duties regardless of value (de minimis abolished). An additional Section 122 tariff of 10% applies through July 24, 2026. Please check with your country's customs office for accurate duty estimates before purchasing. We CANNOT mark merchandise as "gift" or declare lower values on customs forms - this violates US and international laws. Thank you for your understanding.
🛡️対策⑤:DDU運用時のリスクヘッジ
DDPに切り替えたくない場合(高額商品など)のリスクヘッジ方法です。
インボイス価格は実額で記載(絶対厳守)
「ギフト」「価格を下げてほしい」というバイヤー要望は必ず断ります。インボイス偽装は違法で、発覚すればeBayアカウント永久停止になります。また紛失・破損時の補償額もインボイス記載額に依存します。
サンクスメッセージで関税注意喚起
Thank you for your purchase! Quick reminder: Your country may charge import duties when the package arrives. This is collected by your local customs, NOT by us. For US buyers, customs duties + Section 122 (10%) apply. If you have any questions before the package arrives, please contact us first instead of opening a case. Best regards
ネガティブフィードバック対策
関税理由のネガティブフィードバックは、eBay.com(eBay.jpではない)に削除申請すれば9割削除されます。これは「Seller Protection」というeBayの公式ポリシーに基づきます。英語で「This negative feedback is related to import duties which are beyond my control」と記載してください。
💎対策⑥:高単価商品へのシフト
逆説的ですが、関税ショック後は高単価商品の方が利益率が安定します。
関税の「心理的抵抗」の違い
| 価格帯 | 関税額 | バイヤー心理 |
|---|---|---|
| $20の商品 | $2〜3 | 「割高」と強く感じる |
| $300の商品 | $30〜40 | 「想定内」と感じる |
| $1,000の商品 | $100 | 商品価値の10%、許容範囲 |
おすすめの高単価カテゴリー
- カメラ・レンズ($300〜$3,000): 米国関税2.8%のみ
- ヴィンテージ時計($500〜$5,000): 米国関税6.25%
- 楽器($200〜$2,000): 米国関税4.5%
- アニメフィギュア(限定品)($200〜$1,500): 米国関税0%
私自身、2025年10月以降は仕入れ価格の下限を$200に引き上げ、利益率を維持しています。
🗓️対策⑦:2026年7月24日以降の準備
Section 122関税は2026年7月24日に期限が切れます。その後のシナリオは3つあります。
シナリオA: 延長または恒久化(可能性:高)
Section 122は150日限定ですが、再発動の可能性が高い。トランプ政権の貿易政策の根幹として機能しているため、別の法的根拠(第301条・第232条)への切り替えも含めた継続が最も現実的なシナリオです。
シナリオB: 別の法的根拠で関税継続(可能性:中)
通商法第301条(特定国・産業への制裁)、関税法第232条(安全保障)などで類似の関税を継続する可能性。実質的な税率は変わらず、法的根拠だけが変わるシナリオ。
シナリオC: 完全撤廃(可能性:低)
最も可能性が低い。ただし可能性がゼロではないため、7月以降に向けた「関税ゼロ想定」の在庫確保も選択肢の一つです。
期限前後の具体的な行動計画
- 17月20日までに在庫を出品: 「Section 122が撤廃されるかも」の駆け込み需要を狙う。特に高単価商品を中心に出品強化。
- 28月以降の価格戦略を事前準備: 関税継続シナリオで利益率を確保する価格設定を先に計算しておく。
- 3販路多極化を7月までに完了: 米国比率を50%以下にしておくことで、どのシナリオでもダメージを最小化できる。
まとめ:7つの対策チェックリスト
最初の3つを実行するだけで、売上は関税ショック前の80%程度まで回復するはずです。
よくある質問
Section 122関税はいつまで続きますか?
2026年2月24日から7月24日までの150日間限定です。ただし延長や別の関税措置への移行可能性があります。Section 122が失効しても、通商法第301条など別の根拠で類似の関税が継続されるシナリオが最も可能性が高いです。
DDPに切り替えるべきですか?
受け取り拒否率を約8%→1%に下げる効果があります。$100以下の小額商品では特に有効です。CPaSSまたはeLogiのDDPオプションを選択し、商品価格に関税分(米国向けは約13%増)を含めるだけです。
米国以外でおすすめの市場は?
オーストラリア(AU$1,000デミニミス・約9.5万円まで免税)、香港(自由港・一般商品は関税ゼロ)、イギリス(£135デミニミス健在)の3市場が特に有利です。アニメグッズ・カメラ・時計の需要も高い。
売上28.9%減の根拠は?
複数のeBayマーケティング会社が2025年9月以降公開したデータの平均値です。個人差はありますが、米国一辺倒のセラーほど影響が大きい傾向です。私自身も月商60万円→42万円(約30%減)を経験しました。
関税理由のネガティブフィードバックは削除できますか?
eBay.com(eBay.jpではない)のSeller Supportに削除申請すれば、関税理由のネガティブは9割以上削除されます。英語で「This negative feedback is related to import duties which are beyond my control」と記載してください。
情報源
- • JETRO — トランプ大統領 Section 122発表(2026年2月)
- • JETRO — 米国デミニミス制度廃止レポート(2025年8月)
- • eBay公式 — 関税変更ガイダンス(ebay.co.jp/tariffs)
- • FedEx — EU 2026年デミニミス廃止ガイド
佐藤 健介
越境EC研究員 / 元eBay PowerSeller
2015年からeBay輸出に従事。累計取引3,500件以上、フィードバックスコア99.8%。日本郵便・FedEx・DHL・eLogi・CPaSS全社を実際に使った経験をもとに、現役セラー目線のガイドを執筆。2025年8月のデミニミス廃止、2026年2月のSection 122発動を経て、リアルタイムで対策を検証中。